みなさま、はじめまして。
本ブログでは、アメリカ・カリフォルニア州にあります創薬支援企業に勤める筆者が創薬に関する情報やサイエンスに纏わるネタを発信していきたいと思います。第一回目の本日の話題は、がん予防やアンチエイジングに効果があるとして注目されているレスベラトロールについてです。
本ブログでは、アメリカ・カリフォルニア州にあります創薬支援企業に勤める筆者が創薬に関する情報やサイエンスに纏わるネタを発信していきたいと思います。第一回目の本日の話題は、がん予防やアンチエイジングに効果があるとして注目されているレスベラトロールについてです。
レスベラトロール(英語:resveratrol)は、スチルベノイド(スチルベン誘導体)ポリフェノールの一種です。いくつかの植物でファイトアレキシンとして機能しており、またブドウの果皮などにも含まれる抗酸化物質として知られています[1]。レスベラトロールは、1939年北海道帝国大学の高岡道夫氏により有毒植物バイケイソウ(Veratrum
album)から発見され、レゾルシノール(Resorcinol)構造を有することから命名されました[2]。赤ワインに含まれることから、フレンチパラドックス*との関連が指摘されており、心血管関連疾患の予防効果も期待されています[3]。
*フレンチパラドックス│フランス人は他のヨーロッパ諸国の人々よりもチーズやバターなどの乳脂肪や、肉類、フォアグラなどの動物性脂肪を好み、摂取量も多いにもかかわらず、動脈硬化の患者が少なく、心臓病の死亡率も低いといわれている。
ワインといえば、ご存知の通りカリフォルニア州ではワイン作りが盛んに行われており、ヨーロッパのワインに負けない上質なワインも多く生産されています。アメリカのワイン生産量は、フランス・イタリア・スペインに次いで第4位。DiscoveRx社が位置するシリコンバレーから車で1-2時間以内の場所にも数多くのワイナリーがありますので、ワインは非常に身近な存在であります。
それでは、もう少し掘り下げてみましょう。
レスベラトロールによる寿命延長作用の研究が、酵母[3]、線虫[4]、ハエ[5]、魚類[6]で報告されています。また、2006年「Nature」にて、ヒトと同じ哺乳類であるマウスの寿命を延長させる、との成果が発表され[7]、種を超えた寿命延長作用として、大きな注目を集めました。ヒトでの効果は色々と推察されていますが、未だ明瞭化されてはおりません。具体的には、血管拡張反応、動脈硬化防止[9]、ガンのリスクを低減[10]などが報告されています。
ここで一つデータをご紹介します。本研究では、DiscoveRx社独自技術であるEnzyme Fragment Complementation(EFC)技術を用いたHitHunter®エストロゲン受容体アッセイを用いてレスベラトロールがエストロゲン受容体を特異的に動かすことを確認しています[11]。
Fig.1. DiscoveRx社HitHunter EFCアッセイによりin
vitroでのESR2への結合性を検証。レスベラトロールがエストロゲン受容体(ESR2)と特異的に結合することが示された。
尚、レスベラトロールは錠剤で飲むよりも、口内で含み、液状のものを吸収したほうが、血中への取り込みが効率高いとの報告もあります[12]。液状のものを摂取、つまり赤ワインを飲むと吸収率がよいということになります。レスベラトロールが含まれる赤ワインを楽しむことで健康向上効果が期待できるとは、大変嬉しい情報です。
しかし、どの程度のレスベラトロールを摂取すれば期待される作用が得られるかはまだ解明されておりません。フレンチパラドックスも、アルコールの効果が大きく、赤ワインのポリフェノールも貢献していますが、レスベラトロール単体で効果が得られているとは言い切れないのが実情です。
赤ワインに含まれる平均的なレスベラトロール量は約1mg/リットルです。日常的に10mgをワインで摂ろうとすれば、毎日10リットルのワインを飲む必要がありますので現実的ではありません。しかしながら、気の置けない仲間と赤ワインを楽しむということが若々しさを保ち、リラックス効果を得る一番重要な要素なのかもしれませんね!
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References
[1] レスベラトロール - Wikipedia
[2] Resveratrol,
a new phenolic compound, from Veratrum grandiflorum. M Takaoka, Journal of the
Chemical Society of Japan, 1939, volume 60, pages 1090-1100 (abstract)
[3] Bhat KPL, et
al., Antioxid Redox Signal, 3(6):1041-64. (2001) PMID:11813979
[4] Howitz KT,
et al., Nature, 425(6954):191-6. (2003) PMID:12939617
[5] Viswanathan
M, et al., Dev Cell, 9(5):605-15. (2005) PMID:16256736
[6] Bauer JH, et
al., Proc Natl Acad Sci USA, 101(35):12980-5. (2004) PMID:15328413
[7] Valenzano
DR, et al., Curr Biol, 16(3):296-300. (2006) PMID:16461283
[8] Baur JA, et
al., Nature, 444(7117):337-42. (2006) PMID:17086191
[9] Wong RH, et
al., Nutr Metab Cardiovasc Dis, (2010) PMID:20674311
[10] Brown VA,
et al., Cancer Res, 70(22):9003-11. (2010) PMID:20935227
[11] Mohan Singh, et al.,BIOLOGY OF
REPRODUCTION 84, 1045–1052 (2011)PMID: 21248286
[12] Shojaei AH
(1998). "Buccal mucosa as a route for systemic drug delivery: a
review". J Pharm Pharm Sci 1 (1): 15–30. PMID 10942969.
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